∞ シャケノベイビー 8 ∞
【 ZORO 】
うまい、とゾロが言った瞬間、サンジは一瞬目を丸くして、それから、ふわりと破顔した。
嬉しくて嬉しくてたまらない、という笑顔。
ゾロが時おり「うまい」と口にすると、決まってこんな笑顔で、サンジは笑う。
ゾロは、サンジのこの笑顔が好きだった。
好きだった。
っていうか、好きだ。
サンジが。
─────やべぇ、俺、サンジが好きだ。
ついにはっきりそう思ってしまった。
─────やべぇ、好きだ。すげぇ好きだ。
自覚したとたん、どん、と心臓が鳴った。
辺りに響き渡ったのじゃないかと思うほど、大きく。
振動で、頭がくらくらした。
サンジが、「どうした?」と聞いてくるので、慌てて白飯をかっ込んだ。
それから、鮭を全部平らげた。
卵もよく味わって食べた。
ホウレンソウのおひたしもおいしく食べた。
冷奴は2つに切ってあって、それぞれ上にのってる薬味が違っていた。おいしかった。
ゴボウサラダはゴマのドレッシングがかかっていた。たぶんコックのお手製だ。
お味噌汁はゾロの好きな赤だしだった。
全部全部残さず平らげて、焙じ茶を啜りながら言った。
「うまかった。ごっそさん。」
2004/05/27