act. 6

 

 

驚くほどの熱心さで、サンジがゾロのペニスに舌を絡めている。

 

────うまそうに咥えやがって。

 

苦しいはずなのに、サンジは喉の奥までゾロのペニスを咥え込んで、ずるずると唇と舌で扱いている。

まるで、こんな風に後孔にゾロのペニスを迎え入れたいと言っているように。

とんでもなくエロい顔。エロい仕草。

いつからこんなにエロくなった、この男は。

 

────俺に、抱かれるようになってから、だ。

 

ぞくん、とゾロの背筋が粟立つ。

 

サンジは、ゾロが初めての男だった。

ゾロが開いて、ゾロが仕込んだ、ゾロの為の体。

 

ゾロの為にエロくなった体。

 

────すげぇな…。ぞくぞくする。

 

このプライドの高い男が。

レディ至上主義の男が。

唯一、ゾロにだけは体を開く。

跪いて性器を舐める。

一番みっともない姿を曝け出す。

 

突き上げてくる、この凄まじい快感をなんと名づけたらいいのだろう。

優越感?

誰に対してだ。

サンジに対してか?

 

いや違う。

 

こいつのこんな姿を、知らねェ奴らに対して、だ。

 

────俺だけが知ってる。

 

サンジがどれだけエロいか。

どれだけイイ声で啼くか。

この体の中がどれだけ熱いか。

熱くて狭くて柔らかくて、とろけそうか。

 

ゾロだけが。

 

ゾロだけが知ってるゾロだけの体。

 

────たまんねぇな…。

 

欲望に血走った目で、ゾロは、己の性器に奉仕しているサンジを見下ろした。

さっきまで口の中いっぱいにゾロを頬張っていたサンジは、今は、舌先でゾロの先端を舐めている。

どす黒くごつごつとした陰茎の周りで、薄くてひらひらした赤い舌が、蝶が舞うように遊んでいる。

ふと視線を上げれば、同じ顔がずらりと並んで、息を詰めてゾロを見つめている。

まるで自分達もゾロに奉仕しているような、熱を含んでとろりと溶けた瞳をしながら。

 

その強烈に扇情的な光景に、いきなりゾロの背に悦楽が駆け上がった。

 

「…サンジ…、顔にかけるぞ。」

 

え? とサンジが顔をあげる間もなかった。

ゾロが胴震いをしたかと思うと、びゅる、と熱く濃い精液が、サンジの顔を叩いた。

「…ッ…」

咄嗟に目を閉じたサンジの顔に、ゾロは、亀頭をなすりつけるようにして射精した。

サンジの整った顔が、自分の放ったもので汚れていくのを見るのは、とてつもない快感だった。

 

がたん、と音がして、ゾロが顔をあげると、並んだサンジのうちの一人が、崩れるように膝をついていた。

甲板の床に、白濁液が飛び散っている。

ゾロの吐精を見て、つられてイッてしまったらしい。

それを、くく…、と笑って見ながら、ゾロは、目の前の顔射されたサンジに、

「口を開けろ。」

と命令した。

サンジが、ゆっくりと口を開く。

唇の上まで滴っていた精液が、どろりとサンジの口の中に流れ込んだ。

構わずゾロは、その口の中に、吐精したばかりのペニスを押し込む。

「舐めて綺麗にしろ。尿道の中に残ったザーメンも吸い出すんだ。」

ゾロに命ぜられるまま、サンジは、丁寧にゾロのペニスに絡んだ残滓を舐め取っていく。

自らの顔は精液で汚したまま。

唇をすぼめて、ゾロの先端を吸う時、ちゅ…と、キャンディーを舐めるような、甘えた音がした。

ちゅうちゅうと、ゾロの先端を吸い尽くすと、こくん、と小さく喉を鳴らして、サンジは口の中のものを飲み干した。

 

瞬間、ぐわりと、ゾロの中に、再び御しがたいほどの欲望が膨れ上がる。

愛しさと欲情とが同じくらいの大きさで急激に突き上げてきて、それはすぐに形となってゾロの身に現れる。

いきなり大きさと硬度を取り戻したゾロのペニスに鼻先を叩かれ、サンジは驚く。

「おい、お前。」

ゾロが顔を上げて、つられて射精してしまったサンジを呼ぶ。

「お前、こいつのツラ、綺麗にしてやれ。」

甲板に座り込んでしまっていたサンジは、膝にキているのか、よたよたとよろけながら近づいてくると、ゾロの前のサンジと同じように跪いた。

そして、とろんとした目でゾロを見上げてから、顔射されたサンジに視線を移して、その顔から滴るゾロの精液を、おいしそうに舐めだした。

顔射されたサンジの方は、おとなしく舐められている。

その姿が、なんとなく毛づくろいをしあう猫の仔のように見えて、ゾロは口元をほころばせた。

可愛い、と何の衒いもなく、そう思う。

けれど、うっかりそんな事を囁いてしまったら、この男は、烈火のごとく怒り出す。

毛並みは極上だが、気位が高く、扱いにくい猫。

それが2匹身を寄せ合って、毛づくろいをしあっている。

たまらなく可愛い。

サンジは、サンジの顔を丹念に舐めている。

舐めているうちにお互い兆してきたのか、二人ともピンクのペニスを屹立させている。

「お前ら勃ってんじゃねぇか…。握り合えよ。」

ゾロに言われるままに、二人のサンジはお互いの性器を握り込んだ。

ぬちゅ、ぬちゅ、といやらしい音がする。

片方がもう片方の顔を舐めていたはずなのに、気がつけば二人のサンジは、唇を貪りあっている。

「自分とキスすんのはどんな気分だ?」

ゾロが面白そうに聞くと、サンジ達は揃って潤んだ眼を上げて睨んできた。

「オナニーと変わんねぇ、よっ…! アホっ…!」

ふぅん…、とそれをやはり面白そうに聞いて、ゾロはふと、にやりと口角を上げた。

 

「なら、てめぇ…、自分に犯されてみっか?」

 

「なっ…!!」

二人のサンジたちの顔が、見る見る紅潮する。

ちらりと視線を巡らせれば、周りのサンジ達も同様だ。

「冗談じゃねぇ! 何で俺がてめぇ以外のに突っ込まれなきゃならねぇんだよ!」

「冗談じゃねぇ! 何で俺が男の尻に突っ込まなきゃならねぇんだよ!」

目の前の二人のサンジが同時に叫ぶ。

「自分だろうが。」

「「自分なら尚更いやだ!!」」

綺麗なユニゾンだ。

「あーわかったわかった。そんなら逆になれ。てめぇがこいつに突っ込んだらいいだろう?」

「「同じ事だろうが!!」」

また二人同時に叫ばれた。

けれどゾロはそれを一顧だにもしない。

「てめぇらがやらねぇんなら、あっちの誰かにやらせるぞ。」

脅すように口にしたとたん、サンジたちの間に緊迫した空気が漂った。

威嚇するような。

サンジ達はやはり、互いに強いライバル心を抱いているらしい。

その証拠に、目の前のサンジ達は、「何でそんなに俺達を姦らせたいんだよ…。クソッ…。」等と言いつつも、しぶしぶ、片や相手の尻に手をかけ、片や受け入れる体勢を取っている。

二人とも心底いやなのだろう、股間のモノはすっかり萎えきっていた。

たぶん、サンジ自身にしてみたら、サンジのようなタイプの男は、抱くとしても抱かれるとしても、まったくサンジの好みから外れているのだろう。

それどころか、嫌いなタイプなのかもしれない。

サンジが、どこか自分を嫌忌している事を、ゾロは知っていた。

男に抱かれて喘ぐ自分に生理的嫌悪を抱いているらしい。

ゾロにとっては甘美この上ないサンジの媚態も、サンジにとって見れば気色の悪いしぐさ、で切って捨てられる。

その気持ちはまあわからないでもない。

ゾロだって、例えばゾロみたいな男が、男に犯されてあんあん言ってたら、全身鳥肌を通り越して鳥になるだろう。

気色悪いことこの上ない。

だがそれは、ゾロが筋肉隆々のマッチョ男だからで、そんな男があんあん言ってたら、それは誰が見ても気色悪いと思うのだ。

だがサンジは、色も白いし、決して華奢な体つきではないのに線が細いし、手も足もすんなりしていてごつごつしたところがないし、腰も細くてしなやかで、ヘタな女よりずっと色気がある。

あんあん言っても気色悪いどころか、エロくてたまらない。

だからゾロは今までずっと、サンジが声を殺そうとすると殊更に嬲って声を出させてきた。

感じているのを隠すな、と、言葉でもねだった。

そうしているうちに、サンジは、ゾロの前では素直に快楽に浸るようにはなったが、依然、自分の喘ぎなんてみっともないし気色悪い、と頑なに信じ込んでいる節がある。

けれど、ぶっちゃけ、ゾロ的には、自分の恋人がどれだけエロくて可愛いか、自慢したい思いがあるわけで。

けれど、赤の他人にのろけて、うっかりそいつがサンジをそういう目で見ることには耐えられないわけで。

けれど、サンジ自身が相手なら、そんな心配はそもそもないわけで。

そんなわけでゾロとしては、ここで一発、サンジがどれだけ可愛くてエロくて扇情的で魅力的で熱くて狭くてぐにぐにうねうねしているか、ぜひとも知って欲しかったわけなのであった。

 

「んだよ、萎えてんじゃねぇか。」

「「当たり前だろうが…っ!」」

突っ込むサンジも突っ込まれるサンジも、同じような情けない顔をしてゾロを見ている。

突っ込まれる方はともかく、突っ込む方が萎えてるのではお話にならない。

「しかたねぇな…。」

ゾロは、突っ込むほうのサンジの足を軽く広げさせると、後孔をゆっくりと撫ではじめた。

「ふあっ…!」

慣れた体はすぐに快感を拾い始める。

後孔が物欲しげにひくつきはじめたのを指先で感じ取ると、ゾロは、くぷん、とその中に指を沈めた。

「ああ…ッ!!」

あっという間にサンジのペニスが勃ち上がる。

「勃ったな。…うし、挿れろ。」

後孔に指を突き立てたまま、ゾロはサンジの尻を押しやる。

「うぁ…、な、なんで…ッ、そんなに姦らせたい、んだよ…ッ!」

サンジが涙目で抗議する。

「だっててめェは知らねぇだろ?」

「な、にを…。」

「ここがどんだけ熱いかとか…、どんだけ俺が気持ちいいかとか…、どんだけてめェがエロいかとか…。」

耳元に囁いてやると、それだけで、きゅん、とゾロの指を咥えこんだそこが締まった。

「知ってるか…? てめぇのここは、そりゃうまそうに俺の指でもちんぽでも飲み込むんだぜ…? ほんの少し触れただけで吸い付いてきやがるんだ。…てめぇがもっともっとってねだる時、ここも俺のを奥へ奥へと吸い込んでいく。そんで中がぐにぐに動いて俺のを搾り取ろうとすんだぜ…?」

囁きながら、ゾロはどんどんサンジたちの体を近づけていく。

受け入れる側のサンジは、四つんばいになって尻を高く上げている。

ピンクの後孔が丸見えになって、攻めるサンジは、こくん、と喉を鳴らした。

 

2005/07/11


次回、ついにサン×サン突入
私は楽しいんですが、みんなついてきてくれてるのかな…


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