MYRIAM 2

バイバイ、北エスタミル・・・。

 

生まれてこのかた一度も出た事のなかった町…。

船に乗り込むとき、ちょっとだけ感傷的な気持ちになって、あたいは町を振り返った。

不意に、綺麗な町だ、…と、思った。

あれだけドブ臭いとか、ゴミ溜めとか、毎日毎日思っていたくせに。

あれほど出たかった町なのに。

こうして今、いざ旅立つとなると、なんだかほんのちょっぴり、せつない感じが胸に込み上げる。

「行くぞ、ミリアム。」

グレイに声をかけられ、あたいは慌てて前に向き直った。

大きく息を吸って、ふうっと吐く。

そのまままっすぐ前を見て、船に乗り込む。

バイバイ、北エスタミル。

そして、あたいは、二度と町を振り返らなかった。

 

+ + + + +

 

「ねぇ、グレイ、あたい達は何処に行くの?」

「リガウ島さ」

「リガウ島?」

「サンゴ海の南にある島さ。財宝の眠る島だ。」

「財宝・・・♪」

財宝、と聞いて、あたいの胸はわくわくした。

財宝の眠る島。なんてロマンチックな響きなんだろう。

「ミリアム、リガウ島がどんなところか知ってるのか?」

ガラハドが聞いてきた。

あたいは頭を振った。

「知らない。聞いた事もないよ、そんな遠い島。」

クジャラート人のあたいにとって、サンゴ海の南、なんてとこは秘境以外のなにものでもなかった。

すると、ガラハドはにやっと笑った。

「リガウ島にはな、恐竜がいるんだぜ。」

「ええっ? 恐竜???」

恐竜をやっつけるの? あたい達。

無理無理。絶対無理。

「きょ、恐竜がなんぼのもんよ! そんなもん、あたいのヘルファイアでウェルダンにしてやるんだから!」

あたいは精一杯の虚勢を張った。

「そんな事言ってると、恐竜に頭っからバリバリ食われちまうぜ〜。」

いやああああ

そんなのいやああああ

思わず頭を抱えたあたいを見て、ガラハドが笑い転げる。

「ガラハド。」

グレイが見かねて口をだした。

「そのへんにしとけ。胸倉掴んで引っかかれるぞ。」

北エスタミルのパブでのケンカの事を言われてるのに気づき、あたいは、グレイを、何よっと睨みつけた。

グレイもガラハドも、さもおかしそうに笑ってる。

「何よ二人ともーーーーーーーーッ!」

 

その後甲板で、あたいが爪を尖らせながら二人を追いかけたのは言うまでもない。

 

+ + + + +

 

ほどなくして、船はバファル帝国のブルエーレに着いた。

船を降りた瞬間、ふわり、と甘い芳香が鼻をくすぐる。

「いい匂い・・・ 何・・・?」

「葡萄の匂いだ。今、収穫期だからな。」

言われてみれば、確かに葡萄の匂いだ。

うっとりするような、完熟した果実の香りに、町中が包まれている。

北エスタミルとは、空気の匂いも、肌に触る風の温度も湿度も、全然違う。

内海イナーシーを隔てただけなのに、こんなに違うんだ・・・。

あたいは、芳しい香りを胸いっぱいに吸い込んだ。

「なあ、グレイ。」

ガラハドが、にやにやとしまりのない顔で笑いながらグレイに言った。

「ん?」

「葡萄の時期という事は…だ。パブに新酒ヌーヴォーが出てるんじゃないか?」

「そういや、そうだな。」

男たちが実に魅惑的な相談をしている。

「あたいも行くあたいも行く!あたいも飲むーッ!」

 

パブは見事に飲んだくれでいっぱいだった。

みんな農夫達のようで、午前中に一日の収穫を終え、乾杯しながら、口々に今年の葡萄の出来を森の神シリルに感謝していた。

「そうか、この町はシリルの町なんだ…。」

思わずつぶやくと、ガラハドが、

「とも限らんがな。まぁ、農民達はシリルの民だな。」

と、答えた。

席につくと、パブのマスターが赤ら顔で注文を取りにきた。

…お前、店の主人のくせに飲んでるな…?

マスターも心得たもので、あたい達が口を開く前に、「今年はシリルのよき恵みがありました。お客さんも新酒を如何ですか?」と、薦めてくれた。

もちろん、新酒を注文する。

葡萄酒の新酒なんて、あたいは初めてだった。

だいたい北エスタミルでは、葡萄酒なんて金のある奴が飲むもので、あたい達みたいなのが飲むのは、いろいろと混ぜモノをしてあるカクテルと決まっていた。

しばらくして、マスターが新酒を運んできた。

あたいは、運ばれてきたものを見て仰天した。

グラスで出てくるのかと思ったら、なんとジョッキに並々と注がれた葡萄酒が出てきた。

こんなに飲めないよーっ。

面食らっているあたいをよそに、グレイもガラハドも、そのジョッキの葡萄酒を片手で軽々持ち上げて飲んでいる。

あたいもそれに習って片手で持ち上げようとしたけど、重くて無理だったので、両手で抱えて口に運ぶ。

「おいしい・・・・!」

新酒は素晴らしく美味しかった。

すごく口当たりがよくて、フレッシュでフルーティーで。

それに、何だろう、葡萄とは別の、ハーブかなにかの香りがほのかに感じられて、それが口の中に爽やかな後味を残す。

すうっと喉に入っていく感じ。

こんなジョッキくらい、すぐにでも飲み干せそうなほど、その喉越しは良かった。

「まあ、新酒なんてのはな、あくまでも収穫の祝に飲むもので、真の酒飲みはやっぱりじっくりと何年も熟成させたものを飲むべきなんだけどな。」

ガラハドが葡萄酒のうんちくを垂れ始めた。

ええい、含蓄親父はうっとうしいぞ。

真の酒飲みじゃなくたっていいもん。

あたいはこんな美味しい葡萄酒を飲んだのは初めてだった。

更に、「サービスです。」と、山盛りの葡萄が出てきた。

これもすごく甘くて美味しい。

こうして比べてみると、やっぱり、当たり前だけど、美味しい葡萄から美味しいお酒が出来るんだな、って感じ。

聞けば、ブルエーレの農家は皆、自分達でワイナリーを持っていて、自分達が育てた葡萄は、それぞれが自分達でワインにするのだそうだ。

当然、今出てきたこのワインも自家製。

グレイもガラハドも、あっという間に飲み干して、次のジョッキを注文している。

「あたいもおかわりー♪」

右に習えすると、カウンターでマスターと話し込んでいた老人が、にこにこしながら振り返った。

「おいしいですか? お嬢さん。」

「とっても♪ こんな美味しいお酒、初めて。」

そう言うと、老人は、尚いっそう笑顔になった。

「ありがとう、この葡萄は私が作ったんですよ。」

「へえー。」

あたいは感心して老人を見た。

パブに集まったいかつい農夫達の中で、その老人はいかにも貧弱に見えた。

麻の粗末なローブを着て、首から緑色の布を下げている。

こんな、鍬持っただけで卒倒しそうなおじいさんが葡萄を作れるのかしら。

あたいが老人をまじまじと見ていると、グレイがふと、「いい葡萄だ。」とつぶやいた。

それは老人にとって、万感の賞賛に値したらしい。

老人は、グレイに視線を移して、満足そうに微笑んだ。

「ありがとう。あなた方の旅にも、シリルのよき風が吹きますように。」

そして、少し慌てたように、

「ああ、いかん。もう行かなくては。」

と、腰をあげた。

それからまた振り返り、

「お嬢さん、新酒は口当たりがいいけど、お酒ですから、飲み過ぎには注意ですよ。」

と言うと、マスターに軽く挨拶をして、店を出て行った。

「あんなおじいさんでも葡萄作ってるんだー。」

その後姿を見送りながら、あたいがそう言うと、グレイが、

「シリルの神官だ。」

と、答えた。

「神官? シリルの? へー。シリルに神官がいるんだー。」

あんな貧相なじーさんが神官?という言葉は、すんでで飲み込んだ。

「じゃあ、この町にはシリルの神殿があるんだね。クジャラートにはシリルの神殿はないよ。」

クジャラートは漁業の国だからね。

「ブルエーレにもシリルの神殿なんてものはない。」

グレイがそう答えたので、あたいはまた目を丸くした。

「ないの?」

「シリルの神殿なんて、マルディアスのどこにもない。シリルの神官は神殿を持たず、自然で生きている。」

「へええ。」

神殿もないのに神官がいるんだー。

あたいはびっくりだった。

マスターが、新しいジョッキを運んできた。

「ねぇ、あのおじいさん、あんなに慌てて何処行ったの?」

聞いてみると、マスターは、

「シリルの大司教のところに今年の新酒を奉納しに行ったんですよ。何しろ今年の新酒は素晴らしいですからね。きっとオウル様もお喜びになりましょう。」

と、答えた。

「ふーん。」

オウル、というのが、シリルの大司教らしい。

大司教も貧相なじーさまなのかなあ。

大司教もいるのに神殿はないのかぁ。

やっぱり世界は広いなあ。

ジョッキを傾けつつ、ぼけーっと考えていると、不意にグレイが立ち上がった。

「どしたの?」

「宿、取ってくる。」

「? 今日はブルエーレに泊るの?」

「・・・・・・・・これじゃ、発つのは無理だろう。」

グレイの言葉に視線を落とすと、そこには、へべれけになったガラハドがジョッキを抱えて倒れこんでいた。

・・・ガラハド、酒、弱っ!

「早く帰ってきて、コレ運んでねー。あたい、こんなん運ぶの無理だからねー。」

パブを出て行くグレイにそう声をかけると、グレイが軽く手を振って答えた。

 

ところが、待てど暮らせどグレイが帰ってこない。

いったいどうしたんだろう。

宿が取れないのかな。

それともグレイもどこかで酔いつぶれてるんだろうか。

あたいは心配になって、ガラハドをその場に転がしたまま、そっとパブを出て宿屋に向かった。

宿屋は一軒しかなく、すぐに分かった。

宿屋の主人に聞くと、グレイは確かにやってきて、3人分の部屋を取ったと言う。

「一旦お部屋に入られて、それからお出になってないようですよ。」

あたいは仰天した。

あれから小一時間たってる。

やっぱり、酒が回って部屋で倒れてるんだろうか。

そんなに酒に弱いようには見えなかったんだけど、ガラハドといい、人は見かけによらないなぁ・・・。

宿屋の主人に教えてもらった部屋に急いで行ってみる。

3つとったという部屋を、端から覗いていくが、グレイの姿はない。

3つ目の部屋のドアを開けようとしたとき、部屋の中から気配がした。

・・・話し声?

あたいは、ドアノブを握った手に力を込める。

鍵はかかっていなかった。

そうっとドアを開ける。

「あふぅんっ いいっ! いいのぉっ!」

突然の嬌声が耳に飛び込んできた。

・・・なっ────── !

何の声かすぐにわかった。

あたいは、思わずかあっとして部屋に乗り込んでいった。

「あんっ おぅっ はひぃっ あひっ」

ぐぶっ ぐちゅっ ぬちゅっ ぷじゅっ

部屋の奥で、想像したとおりの光景が繰り広げられていた。

あられもなく腰までスカートを捲り上げて、尻を丸出しにした女が、後ろから激しく犯されていた。

胸元もずり下がっていて、丸見えのでかい乳が、突かれるたびに重そうに揺れている。

一目で商売女ご同業と分かる。

女を犯しているのがグレイであることは言うまでもない。

服を脱ぎもせず、女を気遣う様子も見せずに、腰を振っている。

ふと、グレイが視線を上げた。

思いっきり目が合う。

その瞬間、奴ときたら、にやっと笑って見せた。

こーのーおーとーこーはああああああ!

あたいに気がついても動じやしねぇ。

それどころか、まるで見せ付けるように、ひときわ深く、女の中に腰を入れた。

「ひぃぃぃっ!」

女がのけぞって、びくびくと体を震わせた。

イッちゃったらしい。

グレイもほとんど同時に、かすかに呻いて眉根を寄せた。

その顔に、あたいは一瞬、ドキッとする。

くう…イッちゃってる顔が色っぽい男なんてそうはいないわ…。

だけどさああああ、中で出すかぁ?ふつー!

ずるり、と女の中から引き出されたソレを見て、あたいは仰天した。

でか…!

顔だけじゃなく、アレも女がほっとかないタイプなのね。

って、あたいはいつまでこんなのをボケっと見てるのよっ!

「なっかなか帰って来ないと思ったら、なぁにやってんのよぅ!」

いきなり声を張り上げると、女はそこで初めてあたいの存在に気がついたようで、ぎゃっと声をあげた。

「何よこの女っ」

と、慌てて衣服の乱れを直すのを、あたいは、

「はいはい、ヤる事ヤったらお帰りはあっちだよ。」

とあしらう。

女は、ぷりぷり憤慨しながら、それでも去り際にグレイにうっとりとした流し目をくれて、帰っていった。

ドアが閉まるのを見ながら、あたいはふと、

「あれ? 金払わなくていいの?」

と、グレイに尋ねた。

「金? 誰に?」

「誰に…って、今のカノジョ。買ったんでしょ?」

「いや。勝手に入ってきて金はいいとか言うからヤったまでだ。」

グレイは、股間のブツをおっ勃てたまま、涼しい顔で答えた。

商売女プロに金はいらんと言わせたか…。

あたいは思わずグレイのソレを見入ってしまう。

…確かにこんなデカイの見せられたら、体が疼いてきちゃうかも。

「そんな物欲しそうな目で見てると犯っちまうぞ、俺は。」

物欲しそうな…ッ!? ええい、さっさとしまえ!

あたいはグレイに思いっきりあっかんべーをして部屋を出た。

 

+ + + + +

 

夜。

初めての旅に疲れて早々に寝入っていたあたいは、妙な物音で目を覚ました。

隣のグレイの部屋からだ。

『………っ! ぁっ… ぉぅ…』

あたいは思わず溜息をついた。

ヤってる。ヤってるよ。もぉ。

女がほっとかないタイプだとは思ってたけど、よもやこんなに女好きするとはなぁ…。

そんでもって、どうも、昼間とは違う女らしい。

『ぁぁぁぅっ… きゃぁん… ぃぃっ… ぃぃょぉっ… ひぃっ…』

ったく、寝られやしない。

あれだけ嬌声を上げてるところを見ると、また商売女だろう…。

プロにしか手を出さないって事かな?

まあ、素人さんじゃ、あのサイズはキツイかもね…。

それにしてもデカかったな、グレイの…。

あたいだって何本も経験してきたけど、あんなにデカイのは初めて見た…。

あんなの挿れられちゃったら、どうなるんだろう。

あたいの中に、全部入るかしら。

バカみたいにデカイくせに、グレイ、がんがん腰振ってたよなぁ…。

あんなに激しくされたら、あたい、壊れちゃうかも…。

昼間のおネエチャンも、ヨダレたらして白目剥いてたもんね。

『あんっ… あんっ… あんっ… あんっ…』

隣の声も、いよいよ興が乗ってるようだ。

いつの間にか、あたいの手は下着の中に滑り込んでいた。

…濡れてる。

ぬめりの中に、指を沈める。

「…んっ……!」

思わず声が漏れた。

くちゅくちゅと、そこがいやらしい音をたてている。

ぬるぬるを掬うように擦り上げ、固くなったクリトリスを擦る。

クリトリスは、もうぱんぱんに張り詰めて、おっきくなってた。

「ふぅっ……!」

体の芯が、たまらないほど疼いてる。

もう片方の手は襟元から中に滑り込んで、胸に触れる。

…昼間のおネエチャン、おっぱいおっきかったな。

グレイ、やっぱり、おっぱいおっきい方が好きなのかな。

…今ヤってる女も、おっぱいおっきい…の…かな…?

「くぅ…ん…っ」

おっぱいを乱暴に揉む。

ちょっと痛いけど、すぐにじぃんとして、痛みが快感に変わる。

乳首もすっかり固くなってる…。

もみ潰すように強めに捻り上げる。

「あ んんっ……!」

もうだめ。とまんない。

クリトリスも同じように摘み上げて、激しくこする。

「っ…あ、ぅっん…! はぅ…っ」

頭の中が、真っ白に埋め尽くされていく。

その場にいない誰かに見せ付けるように、足を大きく開いて、腰を浮かせる。

見…てよ、見て…!

自分の指じゃ、物足りなかった。

もっと太い、熱いものを、このぬるぬるの中にいれてほしい…!

あんたのモノであたいを貫いて…!

あたいをいっぱいに埋め尽くして───────── !

……グ…レイ………!

『あひぃぃぃぃぃぃぃぃぃッッッ!』

隣がひときわ高い声をあげた瞬間、あたいも全身をびくびくと痙攣させながら、イッた。

グレイに貫かれてる自分を夢想しながら。

 


NEXT | BACK




Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!