ちびねこSS
● | ゾロ | ..... | 犬・3歳 |
● | サンジ | ..... | 猫・生後2ヶ月くらい? |
● | ナミ | ..... | 猫・2歳 |
◇ 第三話 ◇
「あんた、どこの猫?」
頭の上から声をかけられて、チビネコはびくっと顔をあげた。
綺麗な雌猫がチビネコを見下ろしている。
「わかんない」
そう答えると、雌猫は目を丸くした。
「あんた、捨て猫なの?」
聞かれて、チビネコはこっくり頷いた。
その時、くー、とチビネコの腹が鳴った。
それを聞いて、雌猫が優雅な動作でくるりと踵を返した。
チビネコがぼんやり見ていると、
「何してるの、おなかすいてるんでしょ、おいで。」
と、雌猫が振り返って言った。
慌ててついて行くと、雌猫は玄関の脇の猫入り口から家の中に入っていく。
人間の匂いが怖くてチビネコが硬直していると、
「人間なら奥でご飯食べてるから大丈夫よ。」
と、雌猫が言った。
その言葉にチビネコは安堵して、それでもおっかなびっくり玄関をくぐる。
すると、すぐそこに猫餌の入った餌皿があった。
「食べなさい。」
「え、でもこれ、おねーさんの」
「あたしはここんちの猫だもの。餌なんて好きなだけ貰えるから。」
だから食べなさい、と促されて、チビネコは餌皿に顔を突っ込んだ。
一口食べたらもう止まらなくなった。
無我夢中でカリカリを食べる。
とはいってもまだちびっちゃい猫なので、お腹いっぱい食べても餌皿の中はさほど減ったようにも見えない。
「そんだけでいいの?」
「うん。おなかいっぱいたべた。おねーさんありがとう。」
チビネコがにぱっと笑う。
「ところでさぁ、あんた、なんでゾロ臭いの?」
「ぞろ?」
「表にいる犬よ。」
「あいつ、ぞろっていうのか。」
「そう。私はナミ。で?あんた、あいつになんかされたの?」
「え?」
きょとんとした顔でチビネコがナミと名乗った雌猫を見る。
「ぞろはやさしくしてくれた。」
「はあ? ゾロが?」
「うん。おれ、ぞろのはらまきのなかでねた。」
「ゾロの腹巻の中で???」
「うん。あとにんげんからまもってくれた。」
「えええええ??? それ、あの外にいるあの犬のことよね?」
「うん。」
「ええええええ。」
それからナミは、チビネコに、ゾロという犬がいかに猫が嫌いで、ナミとどれだけ仲が悪いかという話を滔々と聞かされた。
けれどチビネコは、やっぱりきょとんとした顔でナミを見ていた。
2007/11/25