■ 融合までの距離 ■
- 1 -
「んぅ…ッ…!」
ちゅぅっと音を立てて乳首を吸われ、サンジの白い背がのけぞった。
声を上げそうになり、慌てて両手で口を塞ぐ。
こんなところで感じてるなんて、気づかれたくない。
けれどそれは無駄な努力だったようだ。
サンジの胸元に顔を落とした男が、くくっ…と笑う。
「声殺してんじゃねぇよ…。」
肌が粟立つほど優しい声で、囁かれた。
唇を噛み締めると、顎がカタカタと震える。
そんな自分がいやで、サンジは横を向いた。
ぱさりと金の髪が顔を覆い、サンジの表情を隠す。
「ふ…ッ……………、ぅ…。」
抑えきれない声が、指の隙間から漏れる。
ゾロは、さっきからサンジの乳首を飽きず舌で転がしている。
熱い舌がざらりと敏感なところを擦るたび、サンジの背筋にぞくぞくと喜悦が走る。
どうしようもない熱が、体の中心に集まってくるのがわかる。
刺激を与えられているのは乳首なのに、熱はどんどん腹の下に集まってくる。
そこがもう固く、熱を持って勃ち上がっている事になど、サンジはとっくの昔に気がついてる。
けれどそれを認めるのも癪で、サンジは必死で歯を食い縛る。
「サンジ……。」
出し抜けに耳元で囁かれ、サンジの体が跳ねた。
この男はこんな時以外、サンジの名を呼ばない。
こんな時だけだ。いつも。
この男がサンジの名を呼ぶのなんて。
その事がまるで、こんなこと以外にサンジの存在意義はないかのようで、サンジは固く目を瞑る。
心臓が、痛い。
「うぁ…っ…、んっ…、ァ…。」
なのに、体は、名を呼ばれただけで悦びに跳ねる。
自分の淫蕩な体が、心底厭わしい。
名を呼ばれてサンジが喘ぐと、ゾロは気をよくしたようで、サンジの耳元に口をくっつけて、
「サンジ…。」
と囁いてきた。
耳に唇が触れながら吐息がかかる感触がくすぐったくて、サンジの体はぴくん、と震えた。
「…ア…っ…。」
思わず声が漏れて、ゾロが耳元で低く笑うのを感じた。
「お前、ほんとにエロいな。」
「何、がだ…っ!」
精一杯睨んでいるつもりなのに、快感に潤んだ目には、力が入らない。
「その目とか…やべぇよ、お前。」
言いながらゾロが、サンジの乳首を、きゅ、と摘まんだ。
痛みを感じるほどにいきなり摘ままれ、サンジの喉が、んくっと赤ん坊がミルクを飲み込む時のような音をたてた。
「このエロい体とか…。」
きり、と乳首に爪を立てられた。
鋭い痛みが走り、サンジが身を強張らせる。
「こんなんでも感じんのかよ。痛かねぇのか? …淫乱。」
「う、るせ…、い、痛いに、決まって…。」
「痛いのがイイんだろう? …勃ってんぜ。」
言われなくても分かってる。
サンジのペニスはもう、限界まで反り返り、先端からひっきりなしに透明の蜜を滴らせている。
痛みも、快感も、ゾロから与えられるものは全て、サンジを乱れさせる。
ゾロだけが。
ゾロだけがこんな風にサンジをかき乱す。
ゾロがサンジの乳首をつまんで、指の腹でもみ潰すようにひねる。
「ぅンっ…!」
乳首から走る電流のような快感に、サンジが身を捩る。
「逃げんな、くら。乳首、イイくせに。」
男のくせに、と言外に感じ取り、サンジは羞恥と屈辱に顔を歪めた。
「クソっ…てめ、そこばっか、いじってんじゃねっ…! さっさと、てめ、の、突っ込めば、いいだろうが…!」
突っ込んで、そして、さっさと終わらせてほしい。
「突っ込むよか、てめェイカせる方が楽しい。」
ゾロはあっさりとそう言ってのけて、サンジの乳首をちぎれそうなほど強く引っ張り上げた。
「あァッ!」
悲鳴を上げてもゾロは乳首から指を離さない。
サンジが思わず身を捩ると、ゾロがサンジの乳首をひねり上げた。
「アアアっ…」
その瞬間、背筋を快感が走りぬける。
ゾロがまたサンジの乳首を摘まむ。
ちぎれるのではないかと思うほど、強く引っ張る。
「ひ」
サンジの体が痙攣する。
「乳首だけでイケそうだな。イッてみろ。うら。」
そう言いながら、ゾロは何度も何度もサンジの乳首をねじった。
* * *
薄暗い格納庫で、満足げな顔で、涎たらして大の字になっていびきをかいている未来の大剣豪を眺めながら、サンジはため息をついた。
結局あれからゾロは、本当にサンジが乳首でイクまで、サンジの乳首から手を離そうとしなかった。
サンジが乳首の刺激だけで、全身を震わせながら射精したあと、ゾロは自分の射精はそこそこに寝てしまった。
おかげで、さんざん舐め回されたりつねったりひねったりされたサンジの乳首は、赤く腫れ上がってじんじんと痛い。
────このバカマリモ。
サンジは、高いびきのゾロの横に座り込んでタバコをふかす。
おもちゃだ。まるで。
好き放題に弄繰り回すだけ弄繰り回して、それでおしまい、の、おもちゃ。
SEXですらない。
だってゾロはサンジの体をさんざんに弄りまわすくせに、自分の性器をサンジに挿入した事はない。
いつも一方的にサンジをイかせるだけだ。
サンジの事は全裸にして弄りまくるくせに、自分は腹巻一つ外さない。
まだしも突っ込んでくれりゃあ、性欲処理だと言い訳もつくのに。
性欲処理の相手にもなりゃしないってか。
当たり前だ。
いくらなよっちかろうが、細かろうが、肌が白かろうが、サンジの体はどこをどう見ても男だ。
男を受け止める柔らかな肌も、濡れて蜜を湛える膣もありはしない。
────俺が相手じゃ勃ちもしねぇってか。
性欲処理にもならないのに、ゾロは、こうしてサンジに触れる。
体のあちこちに触れて、舐めて、サンジをただ悪戯に昂ぶらせる。
それも最近では、なんだかどんどん変態度が増している。
────乳首だけでイケ、ときたもんだ。
はあ…と、サンジはため息をついた。
それでも初めてゾロとこうなった時には、たぶん、ゾロはサンジの中に挿れた、と、思う、のに…。
思う、と、いまいちあやふやなのは、実はサンジにはその時の記憶がまるで無いからだ。
* * *
ある朝、目が覚めたら、横にマリモが寝ていた。
二人してすっぽんぽんだった。
ケツがシャレにならないほど痛かった。
這うようにしてトイレに行ったら、ケツどころかちんこの先まで飛び上がるほどに痛かった。
泣きそうになりながら便器に座ったまま、サンジは、何でこんな事になったんだ…とため息をついた。
何でこんな事になったのかはわからなくても、なんでこんな事をしたのかは良く分かっている。
だってサンジはもう、ずいぶん前からゾロに触れたかった。
ゾロが…好きだったから。
そもそもが、サンジは、ゾロのあの、ただひたすらに野望だけを見つめる、あの一途で強い清冽な眼差しに、どうしようもなく惹かれて、この船に乗ったのだ。
あの瞳をもう一度見たくて。
次の戦いでまたあの瞳に出会えた時、心の底から震えが走るのを感じた。
ゾロの隣で戦えることが、とんでもなく誇らしくて、嬉しくて、たまらなかった。
そのうち、あの目で自分を見てくれないだろうか、等と、バカなことを思うようになってしまった。
わざとけんかを吹っかけてみた。
わざと怒らせてみた。
あの鳶色の目が、自分の方を向くのが嬉しくて。
あの瞳に己の姿が映るだけで、陶酔感にぞくぞくした。
しまいには、瞳だけでは我慢できなくなった。
触れてみたい。
あの頬に、あの手に、あの肌に、あの唇に。
どうやったらあの男に触れる事ができるだろう。
そんな事ばかり毎日毎日考えた。
だから目が覚めて、隣にゾロが寝ているのを見た時。
ああ、俺はついにやっちまったんだな、と、そう思った。
きっと、サンジが誘った。
昨夜、ゾロと酒を飲んだ事は覚えていた。
珍しくケンカにもならずいい雰囲気で、サンジがつまみを作って、ゾロがそれを食べて、二人でたわいのない話をして。
ケンカ口調でない、穏やかで静かなゾロの声が、サンジの恋心をいい感じにくすぐったりなんかして。
酒に酔ったと言うより、あの声に酔ったのかもしれない。
何をしたか皆目覚えてないけれど、きっと、はすっぱに淫乱に、娼婦まがいの誘い方をしたに違いない。
体のいたるところに残る、激しい情交の痕が、それを簡単に想起させた。
ゾロは酒に酔わない。
酒に酔わないゾロは、何があったか、きっと覚えている。
ゾロが覚えている以上、サンジが忘れているわけにはいかない。
だから、その後、腰を庇いながらキッチンに行き、朝食の支度をしているところへ、冬眠から目覚めた熊よろしく、のっそりとゾロが入ってきた時、サンジは精一杯、蠱惑的な笑みを作って、ゾロの耳に囁いた。
「俺はヨカッタか?」
ゾロが片眉を上げて、ちらりとこちらを見て、うっすらと口元に笑みを浮かべたのを見て、サンジは安堵した。
よかった、うまいこと共犯関係を作り上げられた、と。
ほっとした反面、サンジにはわからないことが多かった。
いったい自分はなんと言ってゾロを誘ったのか。
なぜゾロがサンジの誘いに乗ったのか。
もしかして、好きだとか言っちまったりしたんだろうか、俺。と考えて、サンジは青くなったり赤くなったりした。
それでも、それをゾロに確認する勇気はなかった。
もし自分が好きだと言って、それにゾロが答えてくれたのなら、自分達は両思いだ。万々歳だ。
だけど、もし、「やろうぜ」とか実も蓋もない言葉でゾロを誘って、ゾロがそれに乗っただけだったら、自分達の関係は、体だけって事になる。
もしかしたら、そんな言葉もなく、酒の勢いでいきなりゾロを押し倒して、反撃で犯られちゃったとか、そんなんかもしれない。
サンジは、自分の意地っ張りな性格をよく知っていたから、可能性としては、後者の方が大きいような気がした。
その日から時々、ゾロに誘われるようになったけれど、サンジは結局それを確かめる事ができないでいる。
おまけに、あれっきりゾロは、何度二人で倉庫にしけこんでも、サンジに挿入しようとしない。
自分は服も脱がない。
けれど、日を置かず、サンジに触れてくる。
執拗にサンジの体を愛撫して、必ず射精させる。
それにいったい何の意味があるのか、サンジにはわからない。
野郎を射精させて、いったい何が楽しいんだろうと思う。
もしかして、昼間のケンカの意趣返しのつもりなんだろうか。
サンジを射精させて、みっともない顔を見て溜飲を下げてるとか。
だとしたらすごい侮辱だ。
侮辱だと思うのに、怒りのタイミングを外してしまったサンジは、怒る事もできない。
それにゾロは、サンジを射精させるために、サンジの性器や後孔を、舌で愛撫してきたりするのだ。
嫌がらせで、野郎のちんこをフェラする奴って、ちょっとありえない。
かといってこの行為に愛があるとも思えない。
だって愛があるんだったら、こんな風におもちゃみたいに弄り回したり、しないと思う。
もっと、抱きしめるとか、キスするとか、…何か言ってくれたり、とか。
「淫乱」とか「エロい」とか「イイくせに」とか、そんな言葉じゃなく、例えば…、「好きだ」、とか。
そんな風に考えて、サンジは苦笑して頭を振った。
「好きだ」なんて言うゾロなんて、それこそありえない。
ゾロが何を考えてるかはわからないけれど、サンジにもはっきりわかっている事が一つだけある。
それは、どれだけ心が傷ついても、この行為を望んでいるのは、むしろサンジの方だという事。
おもちゃでも、いやがらせでも、触れてくるゾロの手が、こんなにも嬉しい。
どうしようもなく。
タバコがやけに苦く感じられて、サンジはちょっとだけ涙を流した。
タバコが苦かったせいだ。
そう自分に、言い訳しながら。
* * *
「や、いや…、や────、やめ、や…だっ…、ゾロっ…!」
サンジは、組み伏せるゾロの腕から何とか逃れようと、足をばたつかせた。
けれど、毎日バカみたいな重量のダンベルを振り回しているゾロの握力は、凄まじいもので、まったく振り払えない。
いつもの格納庫は、けれどいつものように薄暗くはない。
煌々と明かりが灯されている。
このバカみたいに明るい光の下で、ゾロは、仰向けのサンジの両足を抱え上げ、膝が胸につくくらいまで腰を上げさせている。
おかげで、サンジの後孔は隠すものもなく、ゾロの眼前に晒されている。
────今日は羞恥プレイ、かよっ…!
野郎のケツの孔見て何が楽しいんだ、そう大声で詰りたいのに、苦しいのと恥ずかしいのとで、サンジは声も出せない。
「や、だっ…! い、や、だっ…!」
切れ切れの声でそう訴えても、ゾロは意にも介さない。
「やだやだ言う割には、ちんぽ、ガチガチんなってるぜ。」
にやりとゾロが笑うのが、自分の股越しに見えた。
かあっとサンジの頬に朱が走る。
「お、ケツがひくついた。」
嬉しそうに、ゾロがサンジの後孔をぺろりと舐めた。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!」
────ゾロが、俺のケツ、舐めてる…。
そこをゾロに舐められるのは初めてではないけれど、何度されても、どうしようもない羞恥が全身を駆け巡る。
だってそこはやっぱり舐めるところではないと思うのだ。
なのに、ゾロはさも当然と言う顔をして、そこを舐める。
舐めるだけでなく、中に舌までねじ込んでくる。
サンジの方も、その事にはっきりと快感を覚えてしまっている。
それが、恥ずかしい。
いたたまれない。
サンジはこのごろ、風呂に入ったとき、体を念入りに洗うようになった。
だって、ゾロが舐めるから。
汚れた体を舐められるのは、それこそ羞恥で死んでしまう。
だからサンジは、ことさら丁寧に体を洗う。
ゾロが中まで舌を入れたり指を入れたりするから、中も、丁寧に。
おかげでサンジは、自分の体の変化に、気が付いてしまった。
ただの排泄器官でしかなかったはずのそこが、別の、違う孔へと変化していっている事に。
次第に、ゾロのための体になっていく、自分の体。
なのにゾロはこの孔を使ってはくれない。
本当の意味でサンジを抱いてはくれない。
体だけが、どんどん変化していく。
ゾロのための、体に。
何よりそれをゾロに気づかれるのが恥ずかしい。
だってゾロは何も変わっていないのに。
ゾロとサンジは、SEXすらしていないのに。
サンジだけが。
サンジだけが変わっていく。
ゾロが欲しくて。
ゾロが、足を開いて座りなおし、その中に抱え込むように、両腕をサンジの腹に回して、サンジの体を強く引き寄せた。
サンジの背中に、ゾロの股間が密着する。
背中に固い感触が当たる事に気がついて、サンジはハッとした。
ゾロが勃起している。
────ちんぽガチガチになってんのは、どっちだよっ…!
ここはこんなにはっきりと欲望を表しているのに、ゾロは今日もサンジだけを一方的にイかせるつもりなのだろうか。
────ふ、ざけんなっ…!
怒りにも似た激情に駆られて、サンジは手を背中に回して、ゾロの股間を探った。
指に触れた固い感触を、思い切り握る。
「おわっ!」
ゾロが出したうろたえた声は、束の間サンジを優越感に浸らせた。
ゾロの隙を突いて、サンジは体を反転させて、ゾロの腕の中から逃げた。
ゾロの股間を掴んだまま。
そのまま、ゾロの手を払いのけるようにして、ゾロのズボンの前を開け、既に怒張しているものを引っ張り出す。
ふざけんな。勃ててるくせに。
自分だってこんなにでかくなってるくせに。
その赤黒くごつごつしたものを、サンジは無我夢中で、口の中に迎え入れた。
「サンジ…っ…。」
ゾロが息を呑むのがわかった。
サンジの口の中で、ゾロの剛直がさらに質量を増す。
じわりと先端から滲み出してきたものを、サンジは一心に吸った。
クソバカ野郎。
何で突っ込まねぇんだよ。
でけぇじゃねぇか。
勃ってんじゃねぇか。
突っ込めよ、バカ。
突っ込んでほしいんだよ。
抱いてほしいんだよ。
体の奥で、てめェを感じてぇんだよ。
てめェの心を、感じてぇんだよっ…!
サンジの瞳が、涙で潤む。
それをゾロに見られないように、咥えたまま体を横に倒す。
すると不意に、その腰が抱え上げられた。
「…っ!?」
サンジにペニスを咥えさせたまま、ゾロは仰臥しながらサンジの腰を引き寄せて、自分の上に跨らせようとしている。
もしかしなくても、シックスナインというやつだ、と気づき、サンジの頭に血が上った。
「バ…、てめ、ふざけんなっ…!」
ゾロの上から逃れようと身をよじるが、ゾロは、ウェストを強く抱きしめてそれを許さない。
ぬるん、とサンジのペニスが濡れた感触に包まれた。
「ひんっ…!」
腰が跳ねる。
舐めろ、という風にゾロのペニスがサンジの頬をつついた。
思わずそれを口に含む。
舌でゾロの亀頭を舐めると、同じように、ゾロの舌がサンジの亀頭を舐める。
深く咥え込むと、サンジのペニスも根元までぬめる感触に包まれた。
「ん、んん…っ…、んくっ…。」
口の中いっぱいにゾロをほおばりながら、サンジが呻く。
いやだいやだ。いやだゾロ。
サンジは呻きながら、ゾロの太ももに爪を立てた。
けれどゾロは、それを苦痛とも思ってない様子で、サンジのペニスから舌を離すと、今度はつるんとした陰嚢を口に含んだ。
「んんんんっ…!」
サンジが目を見開く。
袋の中に入った玉が、こりゅんこりゅんとゾロの口の中で転がされる。
「んーっ…、んーっ!」
「…んだ。こんなとこまで感じんのかよ。」
そんなことない、と言いたいのだが、サンジの口はゾロのペニスでいっぱいで喋れない。
おまけに、ゾロに陰嚢を咥えられて引っ張られるたび、尻の孔がパクパクと開閉するのが自分でわかる。
つん、とそこにゾロの指が触れた。
きゅんっと反射的に、サンジの後孔が窄まり、ゾロの指を食い絞める。
「んうっ…!」
くくっとゾロが笑う気配がして、ぐり、とゾロの指に力が入った。
「んんーッ!!」
くぷ、くぷぷ…と、サンジのそこはゾロの指を飲み込んでいく。
恥ずかしい。
どうしようもなく恥ずかしい。
だけどその孔はゾロのものだから。
ゾロが指を挿れたいと思ったら、受け入れてしまうのだ。
だって、ゾロの為の孔だから。
「っふ…ッ…。」
恥ずかしくて情けなくていたたまれなくて、ついにサンジの瞳から涙が溢れ出す。
口を塞がれているから、嗚咽が鼻から抜けて、猫が甘えるような音が出た。
とたんに、口の中のゾロのペニスに、びきっと芯が入る。
サンジは悲しくて泣いているのに、それがゾロの情欲を誘ってるのだと思ったら、もっと悲しくなってきた。
その碧眼から涙をぽろぽろ零しながら、サンジは、子供が母親の乳房に吸い付くように、ちゅうちゅうとゾロの先端を吸った。
多分、少し、甘えたい気分だったのだと思う。
「…っ…そんなにしゃぶったら出ちまうぞ。」
尻の辺りでゾロの声がして、サンジはカッとなった。
「だったら…っ…、だったら、突っ込めよ! いつまでケツの孔、いじくってんだよっ…!」
ゾロのペニスから口を離して、涙声で叫ぶと、ゾロがいきなり、がばっと身を起こした。
上に乗っていたサンジの体が、ころんと転げる。
そのままゾロに両肩を掴まれて、引き寄せられた。
「突っ込んで、いいのか。」
サンジの目の前に、驚くほど真剣なゾロの顔があった。
「え。」
「挿れて、いいんだな?」
さっきまで余裕綽々の顔をして、サンジのケツやらちんこやら弄繰り回していたくせに、突然そう聞いてきたゾロの顔からは、そんな余裕なんて消し飛んでいる。
切羽詰ったような、欲情しきった雄の獣の顔。
そんな瞳で、「挿れていいのか」等と聞いてくる。
わけがわからなくて、サンジは釣り込まれるように頷いた。
勢いよく頷いた弾みに、ぱたぱたと涙が零れ落ちた。
サンジの両肩を掴んだゾロの手に、力がこもる。
「何、泣いてやがる。」
ぺろり、とゾロの舌がサンジの涙をぬぐった。
そのままゆっくりと押し倒された。
「抱くぞ。」
突然豹変したゾロの態度についていけなくて、サンジは、「え? え?」と何度も聞き返す。
ゾロはそれには答えず、サンジの膝裏を抱えるようにして、両足を持ち上げた。
うわ、と思ったときには、もう、サンジのそこに、ゾロの完全に勃起したものが押し当てられていた。
「あ、待っ…、───────アアアッ!!!」
待ち望んでいた熱い塊が、サンジの中に侵入してくる。
そうだ。…待ち望んでいた。
ずっと待っていた。
今まで何度ここを舌と指であやされたろう。
もっと熱くて固い感触が欲しかったのに、それはずっと与えられなくて。
ああ、やっと、とサンジが思った瞬間、ゾロがサンジの体を抱きしめた。
反動で、ずずっとゾロのモノが奥まで入ってきて、サンジは小さく悲鳴を上げた。
けれどゾロは体を離さない。
「すげぇ長かった…。」
大きな大きなため息とともに、ゾロが呟いた。
「てめぇ、もう、あんなのはナシだ。」
「ちんこ破裂するかと思った。」
「離さねぇからな。もう。」
「俺のモンだ。」
囁きながら、ゾロは何度も何度もキスをしてきた。
まるで恋人にするみたいに。
愛しくて愛しくてたまらないという風に。
「挿れさせてくれたって事は、俺の事信じてくれるって事だよな?」
やたらと真剣な瞳が、サンジを覗き込んでいた。
わけがわからないながらも、ここはとにかく頷くべきだ、とサンジは判断する。
こくこくと頷くサンジを見て、ゾロはホッとしたように笑った。
子供みたいな笑顔だった。
じんわりとサンジの心に温かいものが広がっていく。
ゾロがサンジを抱きしめたまま腰を使い出した。
「あ、あっ…、あ…ン、ァ…。」
幸福感に包まれながら、サンジは喘いだ。
つまり…俺は“あの日”、何かゾロに言ったらしい。
このバカは律儀にそれを守って今まで俺に突っ込まなかったらしい。
覚えてねぇ。
見事に覚えてねぇ。
サンジは緩く笑いながらため息をついた。
まったく何も覚えていないけれど。
このゾロの余裕も何も消し飛んだ様子を見れば、今までどれだけゾロが我慢していたか、よくわかる。
それもどうやらサンジの為、なのだ。
それって。
もしかして。
結構愛されちゃったりとか、してるんだろうか。
「サンジ…。」
激しく抽迭を繰り返しながら、ゾロが囁く。
「俺、あの時言った事、本気だから…。」
そう言って、ますます強く、サンジを抱きしめる。
幸福感と圧迫感で窒息しそうになりながら、サンジは心の中で呟いていた。
────だから…。覚えてねぇっての!
2005/04/05
ご、ごめ…、69、ちょっとしか出てこなかっ…。
あづ、ごめん…ね?