○ 幸せ剣豪 ○
【3】
そんなわけで、剣士さんとコックさんの交際は、それなりに順調に進んでるっぽかった。
例え、剣士さんの浮かれ度とは反比例して、コックさんは日を追うごとにぼろぼろになっていったとしても。
なにしろおケツが痛いのだ。
ハンパじゃないほどに痛いのだ。
可愛くてエロい恋人を手に入れた剣士さんは、そりゃもう浮かれまくって、ほぼ毎日サカッている。
愛の為、愛の為、と念仏のように唱えながらそれを受け入れているコックさんの努力のなんと涙ぐましい事か。
毎日のトイレなんて、激痛どころの騒ぎじゃないのだ。
もちろんクルーはみんな気がついていた。
だってこの頃のコックさんの腰つきは、なんか悩ましい。
何故なら、どすどす歩くとおケツに響くから。
なるべくそーっと歩いて、足もなるべく内股にして、そうすると、コックさんの腰つきは自然とクネクネ悩ましくなる。
ウソップなんかコックさんを見るなり恥ずかしそうに顔を赤らめて俯いてるし、ナミさんはチェシャ猫みたいな笑みを顔面に貼り付けたままだし、ロビンちゃんも若いわねぇとか言っちゃったりしてるし、チョッパーは気遣ってうろうろしてるし、ルフィはまあ、いつもと変わりなかったけれど。
そんでゾロはといえば、─────不機嫌だった。
だってコックさんが、みんなの前でただでさえエロい腰を、くねくねとくねらせているのだから、その不機嫌といったらなかった。
なんなんだ、あいつは。
なに考えてる。
なんだってああ腰振って歩いてやがる。
その原因が自分のせい、とは全然考えないゾロだった。
2005/02/19