【17】
サンジの躰の中を、熱い大きな塊が擦り上げていく。
奥の奥まで犯してやる、とゾロが言ったその言葉どおり、熱い塊は、信じられないほどサンジの奥まで入り込んできた。
さっきまで気遣うようにゆっくりだった抽迭は、今やもう、がつがつと激しいものに変わっている。
「あっ…うあ…ッ…あ…っ」
内壁を強く擦り上げられて、力強く奥に付き込まれるたび、サンジの唇からは艶やかな嬌声があがる。
四肢を拘束され、立ったまま、後ろから激しく穿たれる。
痛みは感じなかった。
空きっ腹に流し込まれた酒がきいているのか、潤滑に使われたジェルに何か薬効成分が入っていたのか、或いはゾロが丁寧にそこを慣らしてくれたためか、サンジは苦痛を感じることなくゾロを受け入れていた。
仕草こそ手荒かったが、挿入の時も、ゾロは慎重で優しかった。
けれどその抽迭は容赦がない。
苦痛は感じなかったが、体内を貫く熱い質量は、もうとんでもない。
熱く堅くなった逞しい性器で、サンジの躰の中を余すところなく暴いていく。
それを、サンジの躰ははっきりと幸福だと感じていた。
サンジごときには汚されたりしない、とゾロは言った。
汚されるのはサンジの方だ、とゾロは言った。
奥の奥まで犯してやる、とゾロは言った。
腹いっぱいになるほど精液ぶちまけてやる、とゾロは言った。
眩暈がするほど………サンジはその言葉に─────酔った。
自分に触れてもゾロは穢れない。
その言葉に、サンジがどれだけ安堵したか、きっとゾロは知らない。
サンジの全部をゾロで満たしてやる、とゾロは言った。
どす黒い膿だらけの体が、ゾロの体液で満たされるのかと思うと、それだけでサンジはめくるめくほどの恍惚感に襲われた。
「だから…どす黒くなんかねェ、って。」
知らず、思いを口にしていたらしい。
後ろからゾロに囁かれて、サンジは漸く我に返った。
「ん…あ、あ…っ…………ゾ、ロ…、ぁ…。」
「今のてめェはな、どこもかしこもピンクだぜ…?」
「あっ…、ん…。」
ゾロに「ここもピンク」と、ぺろりとうなじを舐められた。
ひくん、とサンジの体が震える。
「…ッ! てめ、締めすぎ。」
「やうぅ…っ…、ああ…。」
涙で潤む目を開けると、祭壇の周りに無数の面をつけた男達がいるのがわかる。
皆、面をつけているので、誰が誰なのか個々の判別は出来ない。
面をつけてないのは、二人の女官だけだ。
その二人も、祭壇の下で平伏していて、露骨に儀式に目を向けたりしていない。
女官の後ろについているロビンは立ってこちらに顔を向けてはいるが、面をつけている。
だから、その顔がどんなふうにゾロとサンジを見ているのかまではわからない。
ルフィもこの儀式を見ているはずだが、居並ぶ面の中では、どれがルフィなのかはわからなかった。
仲間にどんな顔で見られているのかわからない事に、サンジは内心安堵していた。
それでも。
おかしな事に、ゾロに犯されている自分を見てもらいたい気持ちがどこかにある。
─────どん、な…淫乱…だよ、俺ァ……
見て欲しい、だなんて。
男に犯される自分を見て欲しい、だなんて。
な、ルフィ…信じられるか…?
ゾロが俺で勃って…俺に突っ込んでんだぜ…?
奇妙に、誇らしいような、気持ち。
「ああ…、ん…ゾロ…、なぁ…もっと、ぁ…奥まで…こい、よ…!」
思わず口走ると、どくん、と体の中の塊が脈打つのがわかった。
サンジの腰を掴んだゾロの手に、ぎゅうっと力が篭もる。
「……………ッッッ!!」
急に、突き込んだまま律動が止まり、ゾロが背後で呻く。
痛いほど腰を掴まれる。
「ゾロ…?」
「ッ…てめぇは…、いきなり煽るんじゃねェ。出ちまっただろうが…っ。」
荒い息と悔しそうな声に、サンジは目を丸くした。
体内のゾロが、とっくんとっくんと震えているのがわかる。
腹の中が重い感じがする。
じゃあ、ほんとに…
─────ゾロが俺の中に…射精してる…
ぶわっと脳天まで熱くなった。
身じろぎをしたら、後ろから抱き締められた。
「まだだ……。」
せつないような声で囁かれた。
「まだ抜かねぇぞ…。」
腰を動かされ、結合部から、ぐちゅ、ぐぷっとはしたない音が上がる。
「抜くなよ…。」
なんだか胸がいっぱいになって、サンジは頷いた。
「もっと、てめぇをくれよ…。」
甘えた声でねだると、盛大に舌打ちされた。
「煽るなって言ってんだろうがっ…!!」
いきなりゾロが、繋がったままサンジの膝裏を抱えあげた。
「うわ。」
子供の排尿ポーズの要領で、軽々と抱えあげられる。
「ちょ、ゾロ…。」
そうして、上からサンジの体を落とすように貫かれた。
「んああっ!!」
ぐぷぐぷとゾロのモノがサンジの中に沈んでいく。
一度射精したはずなのに、その固さも熱さも、いまだ衰えてはいない。
それどころか、熱さも硬さも太さも増した気すらする。
「ど、んな、絶倫だよっ…てめぇはっ…!! あぅんッ…!」
悔し紛れに罵ると、にやりと笑う気配がした。
「絶倫と淫乱たァ、似合いじゃねェか。」
「淫…! 誰のことだっ…!」
「てめぇだろ。」
サンジの体を、ゾロは軽々と抱えあげている。
抱えあげた体を揺さぶるようにして、下から突き上げられる。
「ひ…ッ…いん…淫乱じゃ…な…、ァアッ………」
「淫乱じゃなかったら何なんだよ。てめェのこのエロさはよ。バージンだったくせにさっきっから勃ちっぱなしじゃねェか。」
そう言って、ゾロはサンジの膝裏から腕を通したまま、サンジの性器を掴んだ。
「ああぅっ…!」
ゾロに扱かれると、勃ちあがったピンク色のそれは、くちゅくちゅと音を立てる。
つま先まで痺れるような快感が走る。
「んァあああっ……違…、これは、ぁっ…違う…、ゾロだからッ…ゾ、ロだから…俺…ッ……!」
無我夢中で叫んだ。
とたんにうなじに噛みつかれた。
「ひゃああっ…!」
噛まれた瞬間に、ふるっと身震いしたのは、痛みよりも快感の方が強かったから。
ゾロから与えられる全てが、快感に変わっていく。
ゾロだから。
その全てがゾロから与えられるから。
「俺もそうだ。」
熱い声に囁かれた。
「お前が相手ならなんべんだって勃つ。何度だってしてェ。」
「え…。」
「この祭が終わっても、船に戻っても、だ。ずっとお前を抱きてぇ。」
抱きたい、と、ゾロがそう言うと、サンジの中がきゅん、と締まった。
ゾロの顔を見ようとしているのか、拘束された不自由な体を捩って、後ろを向こうとしている。
それを、ゾロは、サンジの体をがっちり抱え込み、そのうなじに噛みついて押さえ込んだ。
今サンジの顔を見たら、きっと出ちまうと思った。
まだまだ、この熱く狭く柔らかな場所にいたかった。
さっきまで痛いほどにゾロを締め上げていたサンジの中は、ゾロの放った精液が潤滑剤代わりになってぬるぬるとひたすらに心地よくなっている。
中をゾロのモノで擦りあげてやると、にゅぷにゅぷという、濡れた、いやらしい音がする。
背筋をぞくぞくと駆け上がる射精感をこらえるために、ゾロは祭壇の周りを見回した。
祭壇の周りに居並ぶ、面をつけた男達。
顔など見えなくてもわかる……明らかな欲望の気配。
その中の何人かに、血の滲む包帯を巻きつけた姿の者がいるのを見て、ゾロは苦笑した。
ついさっきゾロに斬られた戦士達。
頭に血が上ってはいたが、致命傷は負わせなかったはず…とはいえ、すぐに動けるほど手加減した覚えもなかったが。
そんな体を引きずってまで、サンジの痴態が見たいとでも言うのだろうか。
まさか、サンジに本気で惚れたとでも?
─────ならたっぷり見せてやるよ…
ゾロに刺し貫かれて、涙を流して喜ぶこの体を。
ゾロは、サンジの膝裏を抱えて持ち上げたまま、サンジの陰嚢を持ち上げて、わざと結合部が丸見えになるように、腰を突き出した。
サンジはだいぶ飛んでしまっているらしく、ゾロの意図には気づかない。
面の男達が息を飲む気配がする。
見せ付けるように、ゾロはゆっくりとサンジの後孔から己の剛直を引き抜き始めた。
「あっ…んあ…、あっあ…。」
途端にサンジが声を上げる。
面の男達の何人かが、ごくりと唾を飲む。
ゾロは喉の奥で、サンジに気づかれぬよう密かに笑った。
小さく慎ましやかな蕾が、真っ赤に充血して、痛々しいほどに広げられているのはどんなに淫猥な光景だろう。
この小さい孔がどれだけ貪欲か見せてやろう。
ほら引き抜くぜ。
見えるか?
この小さなケツが、どれだけ奥まで受け入れていたか。
「うぁ、ん…、あ、ア…あん…ッ…。」
ずるりずるりと、ゾロの太く長いモノが、サンジから引き抜かれていく。
サンジが体を震わせる。
やんわりと勃ち上がっているサンジの性器から、先走りとも精液ともつかない蜜がとろりと零れた。
カリ首近くまで引き抜いて、ゾロは、今度はそれを、またゆっくりとサンジの後孔に沈め始めた。
わざと見せ付けながら。
サンジの後孔がひくひくひくと不規則に収縮する。
それが見えたのだろう。
男達の間から、呻きのような溜息のような微かな声がした。
サンジの孔から漏れて、ゾロの陰嚢を伝っているのは、先にゾロが放ったものか、それとも溶けたジェルか。
「っふ…ァ…、は…」
サンジの鼻から抜けるような喘ぎ声を漏らし、ゾロはたまらず、まだ半分ほども残っていた砲身を、一気に突き上げた。
「あひィッ!」
びくん、びくん、びくん、とサンジの上体が痙攣した。
ゾロの剛直は、サンジの後孔に根元まで埋まっている。
あれほどに太さと長さを兼ね備えたものは、いったいサンジの腹のどれだけ奥まで犯しているのだろうか。
埋め込んだまま、ゾロはかき混ぜるように腰を回し始めた。
「やあああっ、ゾ、やめ、それ、ああっ…!」
サンジが必死で頭を後ろにそらし、ゾロの顔に何度も後頭部を擦り付ける。
猫が撫でてもらいたくて頭を擦り付けてくるように。
サンジの、そんな無意識の仕草の可愛らしさとは裏腹に、下半身の有様は淫らな事この上ない。
子供の排尿ポーズのように抱えあげられ、結合部をわざと観客に見せ付けさせられて。
小さな孔を限界まで広げられて、赤黒い巨大な怒張でかきまぜられている。
ゾロが腰を回すたび、そこはぐちゅぐちゅと音を立てる。
見ている連中には、きっと目が眩むほど扇情的な淫猥な光景だろう。
包帯が巻かれた男達の何人かが微妙に前屈みになっているのを見て、ゾロは微かに鼻で笑った。