【１４】
吐精を終えたばかりのサンジの性器は、半ばだけ熱を持った状態で濡れている。
ゾロはそれをもう一度握り込んだ。
「…ッ、あ、…ゥ…っ…！」
サンジが微かに喘ぐ。
しとどに濡れたそれは、ゾロの手の中で、いやらしい音を立てる。
その薄い桃色に、ゾロは舌を這わせた。
「バッ…！！ ゾロ…！！」
途端にサンジが狼狽したように腰を引こうとした。
けれどゾロはサンジの小さな尻を抱え込んでそれを許さない。
サンジの性器を、根元まで口腔に納める。
「あ、んん…ッ…。」
サンジの声は甘い。
咥えたまま見上げると、サンジは、眉根を寄せて、しきりにいやいやと首を振っている。
その幼く見える仕草に、どうしようもなく煽られた。
口の中の性器を、余すところなく舐めあげて、先端を舌先で擽る。
「んあッ…！」
敏感な体は、すぐに快感を拾い上げ、熱を持った。
初めてのくせに、なんていやらしい淫らな体だろう。
乳首を弄られただけで、この体は射精した。
蒼い目をとろりと快楽に蕩けさせて。
惚けたように半開きの唇から、涎を垂らして。
理性の飛びまくった、淫蕩にまみれた顔をして。
その瞬間、ゾロは、サンジの表情から目が放せなかったのだ。
あやうくつられて遂情しそうにすらなった。
普段ふてぶてしく鼻っ柱の強い態度を崩さない男が、まるで小娘のように頬を染めて、ゾロに乳首を弄られて、射精した。
ゾロの指先のちょっとした動き一つで、せつない声を上げた。
ぞくぞくと背筋を駆け上がるこの感情を、なんと呼ぶのだろう。
─────誰にも…見せたくねェ…
突き上げてくる獰猛な所有欲。
こんなに淫らなサンジを。
このままどこかへ攫っていってしまいたい。
ゾロは、サンジの鈴口に舌を捻じ込みながら、尻を鷲掴みにした。
小ぶりで引き締まっていて、腰の位置が高い。
こんな細い腰で、この男はとんでもなく重い蹴りを放つ。
下半身についた筋肉は、ゾロの鋼の筋肉とはまるで質が違う。
柔らかくしなやかで、草原を駈ける野生動物のように優美だ。
この小さな尻に、自分の猛り狂った性器を捻じ込んで犯すのかと思うと、それだけでたまらなかった。
「……くしょう…っ…。」
小さな声にゾロがサンジを見上げると、蒼い瞳が涙で潤んでいた。
そんなに嫌か。と口に出しそうになるのを、ゾロは堪える。
嫌に決まっている。
いくら童貞とはいえ、サンジは上に超がつく女好きだ。
それが男にイかされたなど、屈辱以外のなにものでもなかろう。
泣かせたいわけじゃない。
こんなサンジを見るのは嫌だ。
けれど、やめてはやれない。
ようやく触れる事の叶った体を、手放せそうはない。
例え心まで自分のものに出来なかったとしても。
─────この儀式の間だけは…俺のものだ…。俺だけのものだ…。
体だけだとしても。
それでも、こんな弱々しく涙を湛えるサンジを見れば、ゾロの心臓は、まるで鋭利な刃物で裂かれるような痛みを訴えた。
─────斬られたわけでもねェのに、すげェ痛ェ…。
サンジもこんな痛みを抱えているだろうか。
意に染まぬ相手との、意に染まぬ交合を強いられて。
せめて、苦痛を感じないようにしてやりたかった。
正気が吹っ飛ぶほどの快楽を与えたかった。
サンジの性器を咥えたまま、ゾロの指はサンジの双丘を割る。
そっと後孔に触れる。
途端にサンジの体が、びくっと震える。
すさかずゾロが、あやすようにサンジの性器を舐める。
「…ふ…ッ…！！」
指先に銀の容器のジェルを絡めて、ゾロはサンジの後孔を注意深く撫でた。
挿入はせず、ただ入り口を優しく撫で続ける。
「い、や…だ、やめろ…ゾロ…ッ…！」
サンジが切れ切れの声で訴えてくる。
けれどゾロは、サンジの性器に舌を絡めながら、その後孔を指先で撫で続けた。
サンジの体から、余計な力が抜けるまで待つつもりだった。
だがサンジは、なかなか体から力を抜こうとはしなかった。
むしろがちがちに緊張し、その体を小刻みに震わせている。
サンジの顔が今にも泣きそうに歪むのを見たくなくて、ゾロはサンジの性器から口を放し、太腿を抱えあげた。
「ゾロ…ッ…！？」
ゾロの目の前に、ピンク色の慎ましやかな小さな窄まりが現れる。
少しもためらうことなく、ゾロはそれを舐めあげた。
「ヒッ…！！」
サンジが引き攣った悲鳴をあげる。
「やめろゾロ、やめろ！！！」
焦ったような声が必死に抗う。
だがゾロは、そこを舐めるのをやめようとはしなかった。
舐めても害はない、という女官の言葉通り、ジェルは薄甘い味がするだけで何の刺激もない。
花のような甘い香りがする。
ゾロは、香りに誘われるように、サンジの淡い色の後孔を夢中になって貪った。
この男のパーツはどこもかしこも薄い。
キスした時もそうだった。
神経質そうな薄い唇に、花びらのようにひらひらとした薄い舌。
潤いを帯びてゆらゆらと揺れる薄いアイスブルーの瞳。
抜けるように色素の薄い白い肌。
この後孔だってこんなに薄い桜色をしている。
性器も、乳首も。
体臭も薄くてほとんど感じられない。
薄い皮膚。薄いカラダ。
何もかもが薄く淡い色彩の中に、ひときわ鮮やかな、光色の髪。
そのふわふわと捕らえどころのない色合いのせいか、この男そのものもどこかふわふわと掴みどころがない。
こうして肌に触れているのに、少しも手に入れられた気がしない。