『かさぶた。』
【3】
その夜、ゾロは夢を見た。
最低最悪な夢だった。
夢の中でもサンジがゾロを舐めていた。
けれど、サンジが舐めているのはゾロの足ではなかった。
夢の中で、サンジはゾロのペニスを舐めていた。
ぴちゃぴちゃと、子猫がミルクを飲むような濡れた音を立てながら、無心にゾロのペニスを舐め上げていた。
コックの顔はうっとりと陶酔し、笑みすら浮かべている。
扇情的な、蠱惑的な、笑み。
その全身は、水を被ってしとどに濡れている。
白い貌に金の髪が張りついている。
ぽたぽたと毛先から落ちる雫。
その雫が、輪郭を伝い、首筋を流れ、鎖骨から、胸元を滑り落ちる。
濡れたシャツごしに、薄いピンクの乳首が透けている。
それは、ぽつんとシャツから突起を浮き上がらせている。
触れられるのを待っているかのように。
誘っていやがる、と、そう思った。
────ああ、分かってるぜ。こいつをぶち込まれたいんだろう? しかたのねェ淫乱だ。
コックの白い体を押し開き、のしかかり、狂った欲望を突き入れようとしたところで────目が覚めた。
目覚めてもまだ、躰が熱かった。
自分の下半身を見下ろして、愕然とする。
「いや、それは…、やべェだろ。」
思わず独り言が口をついて出た。
行き場を無くした熱が、下半身に篭もっていた。
熱い。
ファスナーをおろし、ペニスを掴み出した。
ペニスは固く上を向き、動悸とともにびくびくと脈打った。
どうにも治まりがつかず、ゾロは乱暴にペニスを握った。
夢に見たコックの痴態を思い出しながら、扱く。
嬉しそうにゾロのペニスをしゃぶるコックの淫蕩な姿。
あの、赤くて薄いひらひらした舌が、ゾロのペニスを何度も何度も美味そうに舐め上げていた。
実際には足を舐められていたはずなのに、ゾロの頭は、都合よく、それをフェラチオに置き換えて、それがまるで事実だったかのような生々しい記憶を、ゾロに伝えていた。
そして、あのシャツ越しに立ち上がった乳首。
実際にそれを見たという記憶はなかった。
あの時はそれどころじゃなかったから。
だが、夢にはそれがリアルに強調されていた。
見ていないつもりで、無意識下に捕えていたのか?
────クソコックの…ちくび…
舐めたい、と、そう思った。
乳首も、唇も、ペニスも。
自分のペニスも舐めさせたい。
そして、あの体を組み敷いて、開かせて……。
「く…ゥ…ッ!」
頭の中で、夢の続きを再現しながら、コックの体に勃起したそれを捻じ込むところを想像しながら、ゾロは射精した。
射精しながら、思わぬところで突きつけられた自分の欲望に、呆然としていた。
「…やべぇって。」
もう一度、呟いた。